前回の記事では夏の北海道旅行1日目の旅程について書きました.今回は引き続き北海道旅行の2日目の旅程について書いていきたいと思います.
9/6 木曜日 二日目
さて,前回の投稿にも書いた通り,今日の予定は函館駅から藤城・砂原支線経由で森駅まで行き,長万部からは函館本線で余市,小樽を経由し,札幌でゴール,といったものでした.
しかし,,,,,,とても予想することのできないとんでもない事態が起こりました.
2018年9月6日 午前3:07
北海道胆振地方中東部を震源とするM6.7,最大震度7の大地震,通称「平成30年北海道胆振東部地震」が発生.
なぜかなかなか寝付けず,夜中に寝ては起きてを繰り返していたら時計は午前3時.
目を閉じて寝ようとしていたところ,突然スマホが大音量で鳴り響いた.
なんの音かと思い画面を見たら,
「「「緊急地震速報です.強い揺れに警戒してください」」
の画面が.
ホテルのとなりの部屋からも緊急地震速報のチャイムが鳴り響いていた.あまりに急な出来事だったため,ベッドの上でただ呆然とするしかなかった.
数秒後,揺れ始めた.
かなり揺れは長く,小さい揺れが長い間続いたと思ったら今度はかなり大きな揺れがきました.
1分間くらいは揺れていたと思います.
揺れ終わり,スマホで確認したら,震源地が北海道胆振地方で,函館市の震度は5であるとのこと.
今まで生きてきて震度3を超える揺れを経験していなかったものの,体感的には震度3くらいでした.ホテルの免震構造のおかげでしょうか.
しばらくの間は非常灯が点灯していたものの,しばらくして非常灯は消え,手元の明かりがないことになった.
しかし,運よくたまたま持ち歩いていたヘッドライトがあったので,これを照らしながらこの後のことについて考えることに.
そもそもまず,今日の目的地に到達できるのか?
他の地域の情報がまだ入ってこないので,被害の様子もまったくわからない.
もともとこの日の乗る予定の列車が5時台だったため,早めに駅に向かって情報収集しようと考え,ヘッドライトを照らしながら荷物を整え,朝の4時台にチェックアウトをすることに.こんな時なのにホテルのフロントも動いていたので感動しました.
ホテルの非常階段から見た地震直後の函館市街の様子です.
街を歩くと,停電の影響で信号機が点灯しておらず,警察の方が交通整理をしていました.お疲れ様です.
函館駅に着くと,すでに何人かいました.駅員さんが交通状況についてアナウンスしていました.
「まだ線路の被害状況が分からないので列車の運転は当分見合わせです」
「北海道新幹線は運転再開見込みなし」
前々日に台風が来ていたこともあり,路盤が弱っていた可能性もあるため,安全確認には相当時間を要するようです.
この状況では移動もできないこと,数日たっても動けない可能性,もしこれが余震だった場合本震が起こる可能性,,,を考えると,ここにとどまるのは無意味,かつ危険だと判断しました.
さて,どうやって本州に帰るか...北海道新幹線は動いていない...
飛行機は動いているのか??
新千歳空港は閉鎖.そもそも新千歳空港までの足がない.
函館空港に関しては確かな情報がありませんでした.
このまま何時間,下手したら数日...ということを考えると,一刻も早く本州に戻りたいというお気持ちでした.
また,朝ごはんも当然食べていないので,飯を回収しなければならない...
仕方なく駅周辺を歩き回っていたが,どこもパニック状態でメシどころではない.
幸いにも,営業しているコンビニを見つけた.しかし,,,
停電の影響でレジが稼働しておらず,店員が商品を探して値段を確認して会計を行う,といった手間があるため,レジには長い列ができており,30分以上は並ぶことに...
とりあえず軽く食料を回収し,30分以上並んで無事に出ることができました...飯を回収するのですらこの苦労.ちなみに,トイレはどこも断水しており行くこともできませんでした.
腹を満たしたところで,ある考えが浮かびました.
フェリーなら帰れるんじゃね・・・?
函館と青森の間にはフェリーが通っていることを経験上知っていたので,もう一つの交通手段としてフェリーがあることに気づくことができました.
情報を探すと,津軽海峡フェリーは運航見合わせしているものの,青函フェリーは動いているとのこと.
早速青函フェリーに問い合わせたところ,なかなか電話が繋がりませんでしたが,動いていますよとの返答が.
もう迷うこともなく,咄嗟の判断でフェリーによる脱北を選択しました.
ちなみに,脱北を決意したため,前日に購入した北海道フリーパスを払い戻しする必要がありました.不幸中の幸い,未使用状態だったので,無事に手数料なしで払い戻しすることができました.
また,この時までは,予定を断念することに残念な気持ちはあったものの,早く逃げたいという思いのほうが強かったため,まだよかったのですが,きっぷを払い戻したこの時初めて悔しさと悲しさを感じました.本当に楽しみにしていて,1か月かけて苦労した旅程が一瞬で水の泡になるのを感じました.
函館港まではタクシーで移動しました.
函館港でフェリー券を購入したところ,ほとんど待つことなく乗船できることに.
それもそのはず,フェリーターミナルには人も全然おらず,多くの人は新幹線あるいは飛行機による脱北を考えまだもたもたしているようでした.咄嗟の思い付き,かつ過去の経験が生かされた瞬間でした.なお,僕が船に乗って数時間したらフェリーターミナルは人があふれ,乗船待ちが発生していたそうです.
ちなみに,フェリーに乗船したのは8時頃だったので,地震発生から約5時間で脱北したことになります.この5時間が本当に地獄でした.
フェリーでは約4時間で青森に着きました.
無事本州に上陸!!!!感動できるもの束の間,,,とても重大な問題がありました.
この後何しよう・・・?
無計画で本州に帰ってきたものの,当然そのあとのことは何も考えていません.そもそも本来この時間には函館本線を走っていたはずなのですから.
しかし,このまま何もせず新幹線で名古屋に帰るのはあまりにも不完全燃焼であるため,何かできないかと考えたところ,完全無計画東北旅行を決行することにしました.
とりあえず駅に行きたかったので,バスで青森駅へ.
無事に列車は動いていました.
東北の周遊きっぷについての知識がないこと,かつ18きっぷのシーズン外ということで,本当にどこに向かえばよいのかわからず,とりあえず浮かんだ答えは
「未乗区間を通る乗車券を使って木,金で使って小牛田まで行き,土日は週末パスを利用する」
「弘前で弘南鉄道乗りつぶし」
でした.なので,
青森→(奥羽)→(北上)→(東北)→小牛田
の乗車券を発券し,このルートを2日かけて移動することにしました.
ちょうどタイミングよく列車が来たので,奥羽本線で弘前を目指します.
めちゃくちゃ天気がいいですね.今朝の地獄は何だったのでしょうか.
天気はいいですが,残念ながらこの先の予定は真っ暗で,それどころか今日の宿すら決まっていませんし,運が悪ければ宿無し野宿です.
電車の中でありとあらゆる計画を模索し,宿を探した結果,無事に今日の計画が完成しました.
50分ほどで弘前に到着.すぐに弘南鉄道の弘前駅へ移動します.
事前に下調べしているわけもないので,弘前に何があるか,そして弘南鉄道沿線に何があるかも知るはずがなく,完全無計画でしたが,とりあえず気になった駅で降りることにしました.弘南鉄道では1日乗車券を使います.
弘南鉄道に乗ります.
夏の田園風景を岩木山を眺めながら走るのはとても爽快でした.とても今朝まで函館にいたとは思えない変わりっぷりです.
黒石駅に到着.
ここに来るまでの途中に「田んぼアート」なるものがあることに気づいたので,帰りに寄ってみることに.
田んぼアート駅に到着.とても長閑な田園風景です.
田んぼアート,生まれて初めて見ました.見事です.
隣接している道の駅で昼食.朝まともな飯を食っていないので本当におなかが空いていた.
弘前に戻り,大鰐温泉までJRで移動.
駅前に足湯があるので,弘南鉄道の時間まで休憩をすることに.
末端駅,しかもJRとの接続駅なのにこの駅舎の安っぽさは・・・
大鰐線,とんでもないくらい揺れる.線形悪すぎでは?
中央弘前に到着.これにて弘南鉄道の乗りつぶし完了です.
中央弘前~大鰐間を単振動し,再び大鰐駅へ.
大阪...?昔の名残ですね.
再び奥羽本線に乗り,本日の目的地である大館駅に到着.朝3時に緊急地震速報に叩き起こされ,フェリーで緊急脱北し,田んぼアートを見て,夜には大館にいるなんて誰が予想できたでしょうか.
大館に駅からわりと近い場所に温泉つきのホテルがあり,本当に運よく空室もあったので,無事に宿にたどり着けました.しかし,明日の宿はまだ確保できていません.
それはおろか,乗る列車すら決めていません.
これからどうなるのか全くわかりません.
恐ろしく長い一日が終わりました.
続きは次回で.お楽しみに.
最後に,本日乗った列車をまとめます:
8:15 函館港 青函フェリー6便 12:15 青森港
12:53 沖館バス停 青森市営バス 12:59 青森駅北口
13:36 青森 普通 弘前 14:20 弘前
14:30 弘前 弘南鉄道 黒石 15:00 黒石
15:20 黒石 弘南鉄道 弘前 15:27 田んぼアート
(田んぼアート)
16:57 田んぼアート 弘南鉄道 弘前 17:19 弘前
17:30 弘前 普通 秋田 17:40 大鰐温泉
18:10 大鰐 弘南鉄道 中央弘前 18:43 中央弘前
18:50 中央弘前 弘南鉄道 大鰐 19:20 大鰐
19:36 大鰐 普通 秋田 20:06 大館
ご覧いただきありがとうございました.